お宿 のし湯

〈のし湯〉では、訪れた方1人ひとりに、きっとお気に入りの場所ができるはず。写真は、中庭に配された囲炉裏端。緑陰の中、パチパチと焚き木の燃える音、炎の色、そして匂い…。携帯電話はオフにして、大切な方との語らいや1人の時間を過ごしたくなる
名湯と至福の味覚と美空間
自然に溶け込むような癒しのお宿
蛇行する清流田の原川に沿って広がる山間の温泉郷・黒川温泉。国内有数の名湯と謳われるこの湯を訪れた旅人に“献上”するように。〈お宿 のし湯〉の屋号は、慶事や贈答品を飾る熨斗に由来する。
穴を掘り、木々を植え、石を運んで、苔を生して、線路の枕木を譲り受け…。同宿のはじまりは、館主が自らの手で創りあげた露天風呂。平成5年には温泉と昼食のご用意ができるようになり、10年からは11室のお宿としての歴史を刻み始めた。
もしあなたが〈のし湯〉を訪れたなら、まずは、敷地内や館内をゆっくりと散策いただきたい。百年以上前に建てられた米蔵の梁、時降る古木を配した空間は、きっとどこかしら懐かしく感じられることだろう。館内のところどころに段差がある。が、それは、この土地が代々受け継いできた地形を大切にしているからこそ。そして、「ここでちょっと座りたいな」「何ていい眺めだろう」という絶好の場所に、ベンチやバー、談話室が配されている。このように、半歩先を読んだサービスが何とも心地良いのである。思い思いの場所で腰を下ろし、昔むかしから存在したかのような空間や、窓の外の森羅万象をゆっくりと愉しんではいかがだろう。そう、急ぐ必要は何もない。
そして、ここ〈のし湯〉は料理自慢の宿でもある。創業以来板場に立つ料理長が一番に心を砕くのは旬であること。厳選の季節の食材に丁寧に下味を施し、一品ずつ最善のタイミングで供される。料理長渾身の創作会席は、開業以来毎回メニュー構成が異なるというから驚きだ。
こんこんと湧き出る名湯と、心尽くしの旬の味。自然との共生を大切にしてきた黒川温泉ならではの、四季折々の自然の恵みを深呼吸し、日頃の疲れを癒して欲しい。

ロフトにダブルベッドを置き、檜風呂が付いた離れの「やまぶき」は、大人2名様限定。古木を生かした味わいのあるインテリアが用意され、まるで我が家のように寛げる

料理は料理長渾身のおまかせ会席のみ。2組限定のカウンター席では、板場に立つ料理人との会話を愉しみながら、出来立ての料理を味わえる。この料理を愉しみに訪れるリピーターが多いというのも大いに頷ける話だ


余計な演出をすることなく、極力自然の形状を生かした豪快な造りの「野天風呂」は、〈のし湯〉の始まりでもある。昼は木漏れ日、夜は星空、幻想的な朝陽の中での湯あみを愉しめる

同宿には宿泊者専用の4つの貸し切り風呂のご用意がある。写真は半露天風呂気分を満喫できる「宙ろくの湯」。プライベートでゆったりと温泉時間をお過ごしを
店舗情報
お宿 のし湯
住所 | 熊本県阿蘇郡南小国町満願寺6591-1 |
電話番号 | 0967-44-0308 |
宿泊料金 | 2名様の場合 1名様 20,000円〜 (1泊2食付き・税別) |
定休日 | 不定休(年間12日程度) |
ホームページ | https://noshiyu.jp/ |