かたくち屋

大きな卓に美しく並ぶ器たち。シンプルでほっこりと愛着のわく佇まいには、一点一点作家が精魂こめた作品ならではの味わいがある。大切に一つひとつ揃えていきたくなるような器との一期一会を、ゆっくりと愉しみたい
良い佇まいの片口と器たちを
隠れ家のような空間でご紹介
近隣には通称「錦三(きんさん)」と呼び親しまれる名古屋屈指の歓楽街。ランドマーク的存在のテレビ塔脇の路地を入ったレトロなビルに、ご紹介する〈かたくち屋〉がある。
かたくち——片口は、液体を注ぐために作られた器。磁器、陶器、真鍮、ガラス等、素材も形も実に様々で、湯冷ましや茶海、抹茶の点て分け用の茶器としても人気がある。また、おかず鉢や皿のように用いたり、花を生けたりと、想像力とセンスで自由にお使いいただける愛嬌のある佇まいも片口の持ち味だ。
同店は、趣味の延長としてオンラインショップからスタート。その品揃えの目利きが評判になり、2014年には伊勢丹新宿店や銀座三越等に出店を果たし、現店舗を開いたのが2016年のことだ。瀬戸・美濃・常滑といった近郊の作家のものをはじめ、全国から集めた佇まいの良い片口を中心に、ちろり・ピッチャー・ミルクパン・すり鉢などの口がついた器や、ぐいのみ・マグ・お盆・一輪挿し等、店主が美しいと思った器も幅広くご紹介している。
片口は、本来注ぐという用途のある器であるため、実際に水を入れて“注ぎ具合”をお確かめいただける。また、時には、器の魅力をご実感いただけるお酒の会やお茶会、テーマを定めた企画展等のイベントも開催している。
ビルの3階。大きな看板があるわけでもない。少々敷居が高いかもしれない。が、勇気を出して扉を開けていただきたい。杯を傾けるその前にふらりと立ち寄る…。そんな風にどうぞ気軽にお愉しみを。海外からのお客様をご案内しても、必ずやお喜びいただけることだろう。

「野口悦士 焼締片口・ぐいのみ」酒を注ぐとしっとりツヤを増す焼締の質感が良い。異国情緒を感じる独特で柔らかな形作りに作者の個性が宿る

「鈴木進 粉引手つき線紋注器」細い線状の土が盛られた線紋は手仕事ならではの温かさ。取っ手がついており、2合近く入るような大ぶりな注器でも注ぎやすい。また、花器としてもさまになる。

「伊藤祐嗣 銅のちろり 旅酒盃」銅のちろりは外側は漆を焼き付け内側は錫引き。真鍮の旅酒盃も同様の仕様で、古裂の巾着袋がセットになっている


「橋村大作HAKU片口・ぐいのみ」クリアガラスに色ガラスを重ね、銀箔を巻き、焼き付けて磨りガラスに。内外異なる質感のギャップも新鮮味がある。右上:「井上美樹 削り茶海・茶杯」下半分はサンドブラスト仕様、ホワンと透ける色気を帯び、上半分で水色を愉しみ、下半分で器の色気を愉しめる。

店舗情報
かたくち屋
住所 | 愛知県名古屋市中区錦3-6-7 服部ビル 3B |
電話番号 | 052-684-5835 |
営業時間 | 日 11:00~18:00 月・火 13:00〜19:00 水〜金 予約制 |
定休日 | 土曜日 |
ホームページ | https://www.katakuchi.jp |