井村美術館 京都美商ギャラリー

オールドバカラ:花食い鳥文花瓶(1878年)。海外へ出てしまった古伊万里を「里帰り」させるために訪れたヨーロッパで、歴史の中で埋もれてしまっていた古いバカラに出会い魅了された。解説本さえ無いバカラの研究と蒐集を今でも続け、オールドバカラの魅力を多くの人々に紹介している
クオリティの高いアンティークを揃え
その魅力を紐解き次世代へと継承
オールドバカラやガレ、ドームといったアンティークのフレンチクリスタルに、歴代の柿右衛門(かきえもん)や今右衛門(いまえもん)、古伊万里などのアンティークを揃える〈井村美術館・京都美商ギャラリー〉をご紹介しよう。
多くの人々に美術品を身近に感じていただきたいとの想いで、1961年に創立した同サロンは、欧州で買い付けた西洋アンティークを中心に取り揃え、販売を行っている。同時に、アンティークの知識や価値を深めるための勉強会「ジャポニズムとオールドバカラの研究会」を年20〜30回ほど開催し、その知識や価値を広める活動も行っている。この研究会では、大切に保管されている作品に直接触れることができる他、研究会の最後には、オールドバカラのグラスを使って飲み物を飲むという貴重な体験もできる。
販売する作品は全て鑑定済み。時には4百年前の作品を取り扱うこともある。購入後のアフターケアも充実しており、アンティーク作品を永く楽しんでいただくことを心がけている。2021年からは、現代作家と協力し、壊れてしまった作品を、モダンアートとして蘇らせる企画もスタート。壊れたから諦めるのではなく、新たに価値を見出す試みは、現代作家の協力により、大きな注目を集めている。
地下1階には、古伊万里をはじめ、歴代の柿右衛門や今右衛門の稀少な作品を展示する美術館を併設し、愛好家はもちろん、初めてアンティークの世界に触れる方にとっても稀有な場所となっている。2023年には、より興味深い展示が行えるようにと、リニューアルオープンを予定している。
「オールドバカラ」という表現をつくり、日本で初めてオールドバカラを一般流通させ、その価値を知っていただくため、書籍の出版も行っている同サロン。日本一の品揃えを誇る。

オーナー 井村 欣裕氏

2021年より、壊れてしまったアンティーク作品を、現代作家の手により、新しいアートに蘇らせるという試みを行っている。割れたオールドサンルイに根を張る植物の枝先には、無数の折り鶴があしらわれ、今にも飛び立ちそうだ。折り鶴は全て作家自身が一つひとつ手で折りあげている。小野川直樹氏作


美術館の地下には、江戸時代~十四代柿右衛門や、十代~十三代今右衛門の希少な古伊万里を展示。過去には、初代から当代まで歴代の柿右衛門展を、日本で最初に開催している。写真右は、十一代今右衛門 錦吉祥文皿。(美術館は来春、リニューアルして新たにオープン予定)


オールドバカラを展示販売しているギャラリースペース。テーブルセッティングでは、バカラ以外の商品も使い素敵にコーディネートされている。季節や定期的に変わるディスプレイで訪れた人を愉しませてくれる
店舗情報
井村美術館 京都美商ギャラリー
住所 | 京都府京都市左京区下鴨松原町29 |
電話番号 | 075-722-2300 |
営業時間 | 11:00~17:00 |
定休日 | 水曜日、お盆、年始年末 |
ホームページ | https://kyotobisho.com |