京和傘 日吉屋

男性が差しているのが「絹舞傘」、女性が差しているのが「蛇の目傘」。一般的にイメージする和傘は写真のものだろう。高級越前和紙を使い色合いが美しい。特に蛇の目傘は白く色を抜いたものを「中入り(なかいり)」と呼び、無地のものとは区別される
伝統を守りつつ革新を追及する
京都で唯一の京和傘工房
「伝統は革新の連続」との理念を掲げ、伝統的な和傘づくりと共に、その技術や構造を活かした照明器具などの開発にも取り組んでいる〈日吉屋〉。平安時代に中国から伝来した傘は「権威の象徴」や「魔除け」として使われ閉じることができなかった。そこに複雑な開閉構造が取り入れられると使用の幅が一気に広がり、江戸時代には雨具として使用されるようになったという。同社の和傘製造は、そんな江戸時代の後期に始まった。
ご存知の通り、京都は都として長らく栄え、最も早くから和傘が使われて来た。多くの人が生活し行き交う中で、和傘は徐々に高級素材を使い、過度な装飾を廃し、シンプルな中にも上品さと京都ならではの美意識とを併せ持つ和傘、「京和傘」が生まれる。
国内で和傘が最も盛んに作られていたのは昭和初期の頃で、戦後になって洋傘が台頭すると国内市場は縮小してゆく。そんな中でも〈日吉屋〉の和傘は、茶道の家元御用達の本式野点傘として愛用され続け、各国の賓客を迎える席でも使用されている。現在京都でこの「京和傘」を製造しているのは〈日吉屋〉だけだという。
現当主で5代目となる西堀耕太郎氏は、和傘の用途が歴史的に変遷していることを踏まえ、和傘の開閉構造を持つ照明器具などの開発・製造もしており、デザイン性豊かな照明器具は、ホテルや高級マンションを飾るものとして多くの特注品も受注する。
また、一般向けの製品として、和紙以外の素材を使ったカラフルな和傘や日傘の製造、工房見学や、和傘・照明品の製作体験も予約にて随時受け付けている。新作の製作事例は公式インスタグラムやFacebookに掲載しているので、ぜひご覧あれ。
これからも伝統を守りながら、革新を追及する〈日吉屋〉の挑戦は続いてゆく。



同社の手掛ける照明シリーズ「古都里-KOTORI-」は、傘の開閉構造を活かして通常の傘のように畳むことができる照明用の傘。写真はペンダントライト

フロアスタンド。他にも足付きのフロアスタンドや小ぶりなテーブルスタンドなどもある。和紙は12色で展開されている

同社の製品は、ラグジュアリーホテルやマンションなどのエントランスホールを飾る照明器具としても採用されている
店舗情報
京和傘 日吉屋
住所 | 京都府京都市上京区寺之内通堀川東入ル 百々町546 |
電話番号 | 075-441-6644 |
営業時間 | 10:00~17:00 |
定休日 | 土曜日、日曜日 |
ホームページ | https://www.wagasa.com |