料理宿やまざき

「まるで故郷に帰ったようだ」「ここへ来るとホッとする」とおっしゃるお客様が多いという同宿は、1階に和洋室と個室風呂付きの1部屋と、2階に和室が5部屋用意されている。写真は一番人気の1階客室「しおん」。床の間や書院、枠組みに特徴がある欄間、庭を臨む縁側など、古き良き日本の佇まいを残した空間に落ち着きのある風情を感じられる
築140年の古民家が醸す木の温もりと
越前の海の幸を堪能できる宿
「今まで、料理宿やまざきのために人目のつかない場所に隠されていたのだろうとさえ思う」と語るのは、ご紹介する〈料理宿やまざき〉のご主人で料理人の山﨑嘉朋氏。宿は金沢近郊に建っていたという築140年の古民家を移築し、「古民家再生の父」と呼ばれる建築家・降幡廣信氏の手により料理宿として再生され、2007年に開業した。
料理宿と冠するだけに料理にはこだわり、新鮮な魚を中心に、「素材の良さをお客様にお伝えする」ことを心掛け、宿のすぐ前にある厨(くりや)漁港から毎日水揚げされる魚介を主人自らが吟味し、セリで仕入れをする徹底ぶり。特に毎年晩秋から漁が解禁される「越前がに」の時期には、蟹を食べるために訪れるお客様も多く、宿では食事時間に合わせて茹で上げ熱々の状態で提供。その美味しさは食通をも唸らせる。蟹以外にも、アワビやノドグロなど一年を通して越前の豊富な海の幸を存分に味わえると、季節ごとに訪れるお客様も多くいらっしゃる。
この古民家とは不思議な縁で出会ったという山﨑氏。そんな思い入れから常に館内に気を配り、スタッフと共に日々の手入れを怠らない。そのため柱や床、建具、設えられている調度品などは常に美しく、自分の姿が映るほどに磨き込まれ、この空間にいるだけでも心が洗われるようである。客室は1階に和洋室1部屋と、2階に和室5部屋が用意され、広さのある1階客室が一番人気。2階の海側客室は、冬は日本海の荒々しい波音、春は海鳥の声、夏は漁火、秋の夕焼けなど、四季折々、時と共に移り変わる海の様子を眺めながら心穏やかに過ごしていただける。
海沿いでは珍しい古民家を再生した〈料理宿やまざき〉。築140年の歴史が醸し出す究極の木の温もりと、越前の極上の味を堪能するために訪れていただきたい宿である。

金沢近郊にあった築140年の取り壊し寸前の古民家は、縁あってご主人の山﨑氏と出会い、ここ越前海岸で料理宿として再生。蔵、門かぶりの松や百日紅などの樹木、庭石や男湯の浴槽内に置かれた大石なども一緒に移築されている。新たな吐息を吹き込まれた古くて新しい建物はまるで“喜んでいるようだ”と山﨑氏も嬉しそうに語る。「古民家再生の父」と呼ばれる建築家・降幡廣信氏が手掛けたこの宿は、2010年に施設としてグッドデザイン賞を受賞している

2階海側の客室。波音を聴きながら静かに時間が流れてゆく

大浴場は男女別に用意され、目の前に広がる越前の海を眺めながら24時間いつでも越前くりやの湯を愉しめる。※写真は女湯

夜間は優しく灯る外灯が玄関前や庭を美しく照らし出す

建築当時の太い梁が見事なロビーには、別注のテーブルや松本民芸家具の椅子などの調度品にもこだわり、木の温もりを大切に、訪れるお客様にとって寛ぎの空間となるよう心掛けている

館内には趣のある調度品がさりげなく設えられ、落ち着いた雰囲気を醸す

越前の冬の味覚「越前がに」は、食事時間直前に茹で上げ熱々で提供される。食通をはじめ、その美味しさを知る多くのお客様が遠方からでも足繁く訪れる

店舗情報
料理宿やまざき
住所 | 福井県丹生郡越前町厨16-53-1 |
電話番号 | 0778-37-1016 |
宿泊料金 | 2名様の場合、1名様 33,000円〜 (1泊2食付き、税サ込、入湯税別途) |
定休日 | 水曜日 |
ホームページ | https://yamazaki-r.co.jp |