ワインの原料となる葡萄を取り巻く環境は実に様々だ。一本のワインボトルの中には、葡萄が育った土地の風土や自然—テロワールが宿っているといっても過言ではないだろう。
ご紹介する〈日本ワイン 海と土〉は、金沢初となる日本ワインを専門とする美食空間だ。扱うのは国内産のワインのみ。日本ならではのテロワールを宿す極上のワイン、そしてイノベーティブな和食との出会いが描き出す至福の味わいを、どうぞゆっくりとお愉しみいただきたい。
オーナーシェフである田中翔氏は、本誌でも紹介の「金澤小料理鮨 翔」を2017年にオープンさせている。日本料理、仕出し、婚礼料理、茶懐石、さらには日本古来の伝統を今に伝える式包丁にも精通し、和食を軸に自由な発想で和食の新境地を拓くその腕前が、全国の食通から高く評価される料理人だ。そして、2018年の冬に満を持してオープンを迎えたのが、2店舗目となる完全予約制の同店だ。
ワインは自らが日本各地のワイナリーへと足を運びセレクトすることが大前提。食材には北陸で捕れる魚介や加賀野菜等、他では味わえない魅力あふれる地元の素材を中心に揃え、香り・熟成・発酵をテーマに素材の持つ旨味や特長を活かした五感で愉しめる料理をご提供。また、金沢を象徴する「加賀五彩」の一つである藍色を海に見立てた壁面や、雄大な日本海の波と戸室火山の噴火口をモチーフにしたアートをカウンター席に配する等、青い海と温かみのある土がイメージされたモダン空間が、かけがえのない日のお食事に非日常の華やぎを添えてくれる。
店舗は一流飲食店が味を競う金沢屈指の歓楽街・片町にある。犀川大橋のほとりに佇むビルの窓にはワインボトルがずらりと並び、これまで知らなかった銘柄との出会いもきっとあるはずだ。日本のワインがお好きという方はもちろんのこと、普段海外のワインをお好みの方も、ぜひ一度。
食通もワイン通も唸らせる、ここでしか体験できない味と時間をお約束しよう。
