株式会社 タニハタ

モダンな意匠や幅広い用途にフィールドを広げる同社だが、組子が使われてきた「障子」や「欄間」といった伝統的な建具にも力を注ぎ、その仕上がりの美しさに息をのむほど。デザインパターンは100パターンを超え、素材となる木材は無塗装の仕上げに美しく映える針葉樹が基本。木曽ヒノキ・神代杉・秋田杉など希少価値の高い針葉樹をはじめ、国内外の良材を予算や仕上がりイメージによって使い分けていく。
日本の伝統木工技術「組子」で
現代の空間を自在に装飾
「組子(くみこ)」という言葉に馴染みのない方もいらっしゃるかもしれない。組子とは、簡単にいうと釘を使わずに木を組み付ける技術の総称で、飛鳥時代から引き継がれ、磨かれていった伝統技法だ。
ご紹介する〈タニハタ〉は、昭和34年の創業から組子ひと筋。組子製品だけを本業に半世紀以上というのは国内でも稀な存在である。釘を一切使わずに、細くひき割った木に溝・穴・ホゾ加工を施した後、カンナやノコギリ、ノミ等で調節しながら一本一本組付けていく工程は、熟練の技と経験値が必要。その作業は、わずか0.1ミリの誤差も許されない繊細なもの。一人前の職人になるには相当な年月を要する中、同社では、75才の熟練から18才の若手まで、20人近くの職人集団が組織的に組子の製作に携わる。
同社の製品は建築物の内装材としての用途以外に、国内外の様々なメディア、グローバル企業に“ブランド価値を高める和のツール”“日本を象徴するデザイン素材”として重用されている。古い組子本、先人から受け継がれてきたノウハウや昔ながらの大工道具による技法を守る一方で、最新機械設備の導入や自社オリジナルの組子デザインソフトを開発。CGによるデザイン提案を行う等、まさに伝統と革新による新しい風を組子の世界に送り込み、伝統を超えた可能性を切り開く存在でもある。
また、製品は天然木材と無塗装を基本とし、ホルムアルデヒド測定を行う等、安心して使用できる製品づくりはもちろんのこと、製作過程で発生するオガクズや端材を有効利用し、人や環境への配慮も最先端と言えよう。
日本伝統の組子を富山から世界へ。文化と精神を宿す〈タニハタ〉の組子をウェブサイトで是非御覧になっていただきたい。洗練された美意識と精緻な職人の技に感動を覚えるはずである。


英国在住の建築関係の施主様の「イタリアの避暑地・コモ湖の別荘に組子を設置したい」という依頼によって制作された、コモ湖をイメージしたオリジナルデザインの美術組子。「鳥肌が立つほど美しい」とイタリアの方からも絶賛された

現代の建築、多様な空間に合わせて進化した、装飾性の高いデザインも目を見張るものがある。ホテル、レストラン、空港等の商業施設から個人住宅まで、オリジナルデザインで製作し、国内外で多くの人を魅了

JR新潟駅新幹線改札口前の蕎麦店の美術組子。白木によって花火の散り際が見事に表現されている


シンガポールでも指折りの鮨店『Aoki Restaurant』の組子欄間。最高級の木曽檜の赤身の部分だけを贅沢に使い、希少価値の高い神代杉がアクセントに。大地を連想させる山、1年を通して水の恵みをもたらす雨が表現されている。入口から見る、幅13メートルにもなる組子は圧巻
店舗情報
株式会社 タニハタ 本社
住所 | 富山県富山市上赤江町1-7-3 |
電話番号 | 0120-41-2872 |
営業時間 | 9:00〜17:30 |
定休日 | 土・日・祝、年末年始、お盆、GW |
ホームページ | https://www.tanihata.co.jp (※10名以上の見学予約のみホームページより受付) |
タニハタ 東京ギャラリー
住所 | 東京都新宿区新宿1-2-1 新宿御苑前マンション 1F |
電話番号 | 03-3358-8843 |
営業時間 | 9:00〜18:00 |
定休日 | 日曜日、祝日 |