自遊花人

桂離宮の襖を彷彿させる市松模様のパーティション「結び」。光をほどよく通し、広い面積であっても圧迫感を感じさせない点も水引ゆえの魅力。写真のように空間のアクセントとなるようデザインすることはもちろん、空間になじむ色をセレクトすればまた違った印象になる
日本古来の水引を現代に。
幅広いシーンを彩る水引アート
日本の水引の歴史は遠く飛鳥時代に隋からの献上品にかけられていた「クレナイ」の麻紐が起源とされている。贈答品や祝儀の際に欠かせない水引は、日本人が大切に受け継いできたおもてなしの心の象徴と言えるだろう。
ご紹介する〈自遊花人〉は、日本の伝統文化である水引を現代感覚でアレンジ。「和のこころ・和のかたち」をコンセプトに、水引アートの可能性に挑戦する作品を城下町・金沢から世界へと発信する水引工房である。
「伝統工芸とは人に愛され使われてこそ、その価値があります。人々が興味を失い用いられなくなれば、水引は取り残され、後世に伝わること無く忘れ去られてしまうでしょう」。工房を主宰する作家・廣瀬由利子氏は、新しい水引の世界を探し求めて20年近い年月を重ねてきた。国際交流に参加するなど多彩な経験から生み出された氏の作品は、従来の「ハレ」の場だけではなく、「日常を楽しむ水引」をコンセプトにした「Wadern STYLE(ワダンスタイル)」として国内外から広く注目を集めている。
〈自遊花人〉が手掛ける作品は、贈答に用いる水引はもちろんのこと、指先ほどの小さな結び珠を使ったアクセサリーから、ランプシェードや玄関ドア、数メートルの壁面を飾るパネルまで、まさに自由自在。2015年には新緑や紅葉、冬景色など日本の森羅万象を映し出す美しいグラデーションを可能とした水引「四季の糸」が完成し、従来の色と合わせて250色以上の水引を素材に、完全フルオーダーメイドでの製作を可能としている。
ウェブサイトでは多彩な作品をご紹介。四季折々の景色を感じつつ、お散歩がてら犀川河岸の店舗へもぜひ訪れていただきたい。間近で目にする作品から、一本の水引の持つ無限の可能性に驚きと感動を覚えるに違いない。

「awaji-lamp」

「永遠」

天井から降り注ぐ光が、大小の球体に反映して幻想的な世界を醸し出す「光降る」。丈夫で軽いことから実に多彩な表現を可能とするのも水引の魅力だ

様々な結び方の手法や色合い、形状で表現されたペンダントライトやランプシェード。柔らかな光と壁に映る影も合わせて楽しめる。「キャンドルライト」

オリジナル水引「四季の糸」。2022年9月現在200色を展開。素材販売も行っている
店舗情報
自遊花人
住所 | 石川県金沢市清川町7-9 |
電話番号 | 076-244-6441 |
営業時間 | 10:00〜16:00 |
定休日 | 日曜日、祝日 |
ホームページ | http://www.jiyukajin.net |