鮨きひろ

料理の一例から「金目羽二重蒸」。脂の乗った金目鯛に白玉を重ねて蒸しあげた一品。出汁の効いた餡とアクセントのウニが絶妙なバランス
ほんの少しの味を加え
一つひとつが滋味に富む
JR静岡駅の西側・梅屋町界隈は、大通りから少し入った静かなエリア。住宅やマンションが並ぶ一角に、〈鮨きひろ〉の真白い暖簾が今宵も揺れる。
同店は、静岡での歴史は幕を開けて間もないながら、店主は東京の鮨店にて修業を経て鮨を握り、その後独立し、中目黒、赤坂、六本木、白金と計18年にわたって営んできた経験豊富な鮨職人。生まれ故郷である静岡に戻り新たに開業したのが、2021年3月のことだ。お品書きは「鮨にぎり」と「おまかせ肴と鮨」の2本と潔い。時価ではなくいずれも価格が明瞭なので、初めてのご来訪の方も心づもりをしやすい店だ。
地元静岡の魚介に精通し、馴染みの深い豊洲市場へも足しげく通う店主の握る鮨は、魚の素材の特徴を生かし、米の旨味を引き出し、口に入れたときに同時にばらけてゆくその加減が素晴らしい。やや小ぶりで、女性の方も召し上がりやすい大きさに。肴や料理には、辛いもの、濃い味のもの、きつい油のものではなく、淡く優しいものを心がけ、鮨の邪魔をしないことが身上だ。また、ワイン、焼酎、日本酒も、いずれも鮨と料理を引き立てるように選ばれたおすすめの銘柄が揃っているので、是非お試しを。
店内は、板場を囲むコの字型のカウンター8席のみ。気さくな店主と時に会話を交わしつつ、目の前で鮨を握るその熟練の所作を間近に見れるのもこの規模感ならではの愉しさだろう。気配り、目配りも非常に行き届いているので、大切な方を伴ってのご利用や失敗できない接待等にも安心してご利用になっていただきたい。

「牡蠣吸い」。奇をてらわないやさしい味わいの料理も、長年の経験が活きる逸品揃いだ。旬の奔り・盛り・名残り、そして山の幸、海の幸の出会いの妙を目と舌で存分に愉しみたい

「蟹酢」

「鮑酒蒸し」

鮨は真っ向勝負の江戸前で、一貫一貫が凛とした佇まいを宿す。吟味を尽くしたネタと旨味が引き出された米とのバランスも絶妙だ

カウンターからは、目の前で鮨を握る店主の手さばきを眺めることができる。板場とお客様との距離の近いカウンター席ならではの醍醐味でもある
店舗情報
鮨きひろ
住所 | 静岡県静岡市葵区梅屋町4‐9 |
電話番号 | 054-272-1006 |
営業時間 | 17:30~22:00 |
平均予算 | 16,000円 |
定休日 | 不定休、年末年始 |
ホームページ | http://www.sushikihiro.com/ |