「ものを大切に長く使う」「すぐに捨てるのはもったいない」。これらは実は私たち日本人が、小さな頃から自然と受けているサステナビリティの教育といえるのではないだろうか。しかしながら、なぜか地球環境保護に対しての意識はまだまだ低いといわれている昨今、現状を正しく知ることが、地球環境や子どもたちの未来を守る大きな第一歩になるだろう。サステナブルをただのトレンドで終わらせないために、連載第5回の今月は話題のアップサイクルについて学ぶ。
アップサイクリングの概念
※写真はイメージです(写真=iStock.com/Vasilevskiy Sergey)

リサイクルとアップサイクルはなにが違う?

最近よく耳にする「アップサイクル」という言葉。みなさんは正しく理解しているだろうか? サステナブルに関する動きが急速に高まる今、「アップサイクル」はリサイクルの現代語版のような使われ方をすることも多いが、実は厳密にいうとこれまでのリサイクルとも、またリユースとも少し違う。

もともとリサイクルというのは、ダウンサイクルとアップサイクルに分かれていて、これまでいわれていたリサイクルは、おもに前者のことを指していた。ダウンサイクルとは、不要になった製品を原料に戻して別の製品に生まれ変わらせることで、たとえば一度使った紙を再生紙にし、そこからトイレットペーパーをつくることなどもそれにあたる。

反対にアップサイクルとは、製品をできるだけそのままの形で別の製品に生まれ変わらせることを指し、ダウンサイクルとは違って原料に戻すためのエネルギー消費は起こらない。感覚でいうとリメイクに近いが、より価値をつけ、もとの製品よりさらに素晴らしいものに昇華するといった意図が乗せられているといえる。

つまりアップサイクルとは、そもそも捨てられるはずのもの、ゴミになっていたかもしれないものを、クリエイティビティと自由な発想力によって、高価値のものに変身させるということ。同時にものの寿命を延ばし、使って捨てるというサイクルを長く引き延ばすことができるのだ。

パレットシェルフ
写真提供=gleam