シンガポールには推定44人のビリオネアが住んでいる。
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- エコノミストの調査部門、Economist Intelligence Unitのレポートによるとシンガポールは5年連続で世界一コストの高い都市となった。
- 2018年のヒット映画『クレイジー・リッチ!(原題:Crazy Rich Asians)』に登場したこの街には、推定44人のビリオネアが暮らしている。
- シンガポールの超富裕層は、オーチャード・ロードやホランド・ビレッジといった高級住宅街にある数少ない戸建て住宅を購入することに大金を費やしている。
- 富裕層の子弟向けの私立学校から、会員限定の社交クラブまで、シンガポールの富裕層の暮らしを見てみよう。
エコノミストの調査部門、Economist Intelligence Unitのレポートによると、シンガポールは5年連続で世界一コストの高い都市となった。
シンガポールとともに、パリ、香港もトップに並んだ。
人口約560万人、「ライオン・シティ」と呼ばれる都市には、推定44人のビリオネアと、さらに多くのミリオネアが住んでいる。このリッチさが、2018年のヒット映画『クレイジー・リッチ!(原題:Crazy Rich Asians)』の背景となった。
シンガポールのビリオネアの暮らしを見てみよう。
マレー半島の南端にある都市国家で人口は560万人、居住者の私有財産は1兆ドル(約100兆円)に達する。
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推定44人のビリオネアが暮らし、ニューヨーク、香港、サンフランシスコ、モスクワ、ロンドン、北京に次いで、世界で7番目にビリオネアが多い都市だ。ミリオネアの数も着実に増えている。
シンガポールのビジネス街。
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その数は2017年半ばから2018年半ばにかけて11.2%増え、18万3737人となった。また、最も生活コストの高い都市でもある。
シンガポールのマンション群。
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2018年、133の都市でパン、ワイン、タバコ、ガソリンなど150品目以上の価格を比較した調査によると、シンガポールは5年連続で世界一高コストな都市となった。
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シンガポールに実在するビリオネア兄弟、ロバート・ウン氏、フィリップ・ウン氏の資産は、合わせて121億ドルにのぼる。2人はシンガポール最大の不動産開発会社、ファー・イースト・オーガニゼーション(Far East Organization)を率いている。父のウン・テンフォン氏が1934年に設立した会社だ。
ロバート・ウン氏(左)。1988年、土地の競売会場にて。右は父のウン・テンフォン氏。
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ウィー一族もビリオネア。ウィー・チョーヨー氏の資産は64億ドル。1935年にユナイテッド・オーバーシーズ銀行(大華銀行)を設立、シンガポールで3番目に大きな金融機関となった。現在のCEOは息子のウィー・イーチョン氏。
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サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、シンガポールの超富裕層は、富を維持するために裕福な家族同士で結婚し、血縁関係を大切にしている。
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上流階級に最も人気の住宅は「土地付き住宅(landed properties)」と呼ばれるもの。土地の所有を伴うので、単なるマンションの一室とは違う。「シンガポールで土地を所有することは、確かに特権。シンガポールでは土地が最も貴重な資源だから」と世界有数の不動産サービス企業、クッシュマンウェイクフィールドのクリスティン・リー氏はブルームバーグに語った。「過去50年以上にわたり、土地の価格は非常に高く評価されてきた。これが前の世代が富を築くもととなった」。
シンガポールの高級住宅街にある住宅。
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土地付き住宅を所有することは、シンガポールでは究極の「富裕層にとってのステータスシンボル」とリー氏は付け加えた。土地付き住宅の中でもさらに特別なのは「グッド・クラス・バンガロー(Good Class Bungalows:GCB)」と呼ばれる。居住スペースは少なくとも約1400平方メートルあるのが一般的。
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だが、そうしたタイプの住宅は極めて少なく、シンガポールに約2700戸しかない。購入できるのは、収入がシンガポールの上位5%の人だけ。
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シンガポールの富裕層のためのもう少し手ごろな住宅は、例えば、ディリードン・シンガポール(d'Leedon Singapore)。7棟のマンションと1棟2軒のイギリス式の住宅が7つある。設計は、イラク系イギリス人建築家の故ザハ・ハディド氏。
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ディリードンは、シンガポールで最も裕福な人々が暮らすホランド・ビレッジにある。
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もうひとつの裕福なエリア、オーチャード・ロードにある豪華マンションの価格は2200万ドルから。ここはビジネスやショッピングの中心地でもあり、
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シンガポールのエリートたちが癒しを求めて訪れるのは、贅沢なスパ。セントレジス・シンガポールのルメードゥ・スパや、
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アウリガ・スパには「カペラ・シンガポールだけの特別なトリートメントメニュー」がある。
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リゾートのようなセントーサ島には、シンガポール随一のビーチやヨットが係留できるマリーナがある。カジノ、ウォーターパーク、遊園地があり、「シンガポールの遊び場」として知られている。
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だが、富裕層を最も見かけるのはセントーサゴルフクラブだろう。シンガポールの高層ビルの素晴らしい眺めが楽しめる。
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このゴルフコースには、海外からVIPやセレブが頻繁に訪れると言われている。
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ディナータイムにはカット バイ ウルフギャング パック(Cut by Wolfgang Puck)でビリオネアを見かけるかもしれない。ここでは和牛やタルタルステーキ、牛タン、キャビア、ロブスターなどを味わうことができる。
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このステーキハウスはマリーナベイサンズにある。シンガポールのランドマークで、ホテル、カジノ、博物館、ショッピングモールがあり、街や湾の素晴らしい眺めが楽しめる。
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ワク・ギン(Waku Ghin)も富裕層に人気のレストラン。ミシュランの2つ星レストランで、和と洋が融合した10品のコースメニューを提供している。
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トン ルー プライベートダイニング(Tong Le Private Dining)も人気。マリーナベイを見渡せる回転タワーの中にあり、ディナーは1人あたり78ドルから250ドル以上。
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入会費は約3400ドル、バー、レストラン、ワークスペース、ジム、会員限定イベントの費用が含まれている。
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クラブは会員について「職業ではなく情熱で定義される。つまり栄誉や功績を超えたところで。語るべき素晴らしいストーリーがあり、より多くのことを学び、実行することへの飽くなき欲求を持つ。多くの会員は大きな将来性があり、カルチャーの担い手であり、マルチな才能を持ち、より良い世界の実現のために戦っている」と表現している。
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だが、ストレーツ・クランは若い世代向け。シンガポールで最も古い会員制クラブの1つ、タングリン・クラブ(Tanglin Club)は入会条件が非常に厳しい。シンガポールの初代警察長官、トーマス・ダンマン(Thomas Dunman)によって1865年に設立された。会費は年約4500ドル。
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出典 : Singapore Tatler, Tanglin Club
会員になるには、少なくとも3年は在籍している人物2人からの推薦が必要。承認されるまでに平均10〜15年かかる。
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エリートの子弟は、アメリカかイギリスで教育を受けるか、シンガポールにいくつかある名門校に通う。アングロ・チャイニーズ・スクール(Anglo-Chinese School)はその1つ。設立は1886年、年間の学費はシンガポール居住者なら3250ドルほどで済むが、外国人の子弟は2万2000ドルほどになる。
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こうした名門校は、シンガポールの有力者や起業家、アスリートを多く輩出している。
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ラッフルズ・インスティテューション(Raffles Institution)も歴史ある名門校の1つ。設立は1823年。
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年間の学費は、居住者は約2700ドル、非居住者は約1万8700ドル。
出典 : Raffles Institution
(翻訳:仲田文子、編集:増田隆幸)