ベンチャーキャピタリスト8人による「最も期待できる電気自動車(EV)スタートアップ」最多得票は「リビアン(Rivian)」だった。
Rivian
- Business Insiderはベンチャーキャピタリスト8人を対象に、将来有望だと思う電気自動車(EV)スタートアップをそれぞれ2社あげてもらった。
- 最多得票はリビアン、8人中4人が選んだ。
- リビアンを選んだ理由として、他社とのパートナーシップ、豊富な資金調達実積、マーケティング戦略、車体デザインの秀逸さがあげられた。
「第2のテスラ」を目指して、EVメーカー各社はここまで、スタートアップから大企業へと成長を遂げ、ファンを獲得し、巨額の資金調達を実現してきた。
先頭集団からいち早く抜け出したのは、リビアン(Rivian)。
アマゾン創業者のジェフ・ベゾスにも比肩される最高経営責任者(CEO)に率いられ、ここまで60億ドル(約6300億円)を調達し、アマゾンとフォードという巨大企業との提携を実現。新規参入企業が蹴落とされがちな自動車業界に風穴を開けた類まれなスタートアップだ。
Business Insiderはベンチャーキャピタリスト8人を対象に、将来有望だと思うEVスタートアップを2社ずつあげてもらったところ、そのうち4人がリビアンを選んだ。いずれもリビアンには出資していない(=利害関係はない)。
リビアンを選んだ4人に、同社が成功すると思う理由を4つあげてもらった。
1. アマゾン・フォードとの提携
リビアンのR.J.スカーリンジ最高経営責任者(CEO、左)と米自動車大手フォードのビル・フォード会長。
Ford
ベンチャーキャピタリスト4人のうち少なくとも1人は、リビアンがアマゾンとフォードとの提携を実現したことを理由にあげた。
アマゾンは商品輸送向けのEVバンを10万台発注済み。フォードはリビアンの共通プラットフォーム「スケートボード(Skateboard)」を自社EVに採用したい考えだ。
リビアンの技術に寄せる両社の信頼度の高さがうかがえるだけでなく、他のスタートアップが移り気な消費者に自社EVを売りつけるのに腐心しているところ、リビアンは両社との提携により、多様なビジネスモデルを展開できる。
「EV、とくに次世代EVが普及するのはおそらく、輸送用車両あるいはバンだと思う」(オートテック・ベンチャーズのジェフ・ピータース)
2. 60億ドルの資金
リビアンのR.J.スカーリンジCEO。
Mike Blake/Reuters
電気自動車の開発・製造には大変なコストがかかる。とくに量産前の最初の1台が高くつく。
リビアンはこれまでに60億ドルの資金調達に成功。これは他のあらゆる(独立系)EVスタートアップを上回る金額で、出資元には米運用大手のティー・ロウ・プライスやブラックロックが含まれる。
「リビアンの資金は潤沢だ」(ジェフ・ピータース)
3. 他メーカーがノーマークの市場
リビアンのピックアップトラック「R1T」。
Rivian
リビアンは当初テスラに続いてEVスポーツ車での市場参入を考えていたが、SUV(多目的スポーツ車)とピックアップトラックに切り替えた。
マーケティング戦略も、荷物スペース重視の(流通事業者などの)ユーザーや、キャンプ・サーフィン・スノーボードといったアウトドア向けのオフロード性能を重視するユーザーを対象にしている。
「SUVとピックアップトラックにフォーカスし、特定ユーザーにターゲットをしぼったことで、EV市場の他の競合との差別化に成功している」(フォンティナリス・パートナーズのダン・ラトリフ)
4. 秀逸なデザイン
リビアンのSUV(多目的スポーツ車)「R1S」。
Rivian
リビアンを推したベンチャーキャピタリスト4人のうち3人が、SUV「R1S」とピックアップトラック「R1T」のデザインを評価した。
「プロダクトはやはり(最も重視されるべき)王様」(フレイザー・マッコームズ・キャピタルのマーク・ノーマン)
ニュー・エンタプライズ・アソシエイツのアーロン・ヤコブソンは、2021年に予定通り「R1S」が発売されたらすぐに買うという。
「とにかく、美しい」(アーロン・ヤコブソン)
(翻訳・編集:川村力)