福珠窯

「天啓花蝶紋」は、誕生から30年を経た現在も愛され続ける同窯を代表する絵柄 「天啓赤絵」は中国の明末・天啓時代に景徳鎮の民窯で焼かれた赤絵の焼きもので、誕生当時の有田の窯元の気風が反映された逸品だ 小判皿やパスタ皿等、シリーズで揃えることができる
伝統を守りながら常に新しく
贅沢だけれど普段に使える丈夫な器
染付の青、そして赤絵の赤・緑・黄色といったカラフルながらも優しく落ち着いた色合いに思わず見惚れる。ご紹介する〈福珠窯〉は、有田焼の老舗・香蘭社の絵付け部門の伝統工芸士であった創業初代・福田清太氏の独立・創業から65年。染付と赤絵、この両方の高い技術が問われる「染錦」と呼ばれる器を得意とする窯元だ。
創業当初は箸置きといった小物を皮切りに、次第に全国各地の高級料亭に向けての器製造を増やし、2代目福田雅夫氏の時代には、一般家庭向けの食器等幅広く手掛けるように。現在は3代目窯主となる福田雄介氏が、伝統を大切にしながらも現代のライフスタイルにあったデザインの器を世に送り出している。
福珠窯が心がけているのは、“ひとつひとつが贅沢な普段づかい”の器であることだ。末永く使い続けていただくために、いつの時代も普遍的に美しく感じられるものづくりを意識して、初代からの伝統を大切に。また、全ての製造行程がそれぞれの熟練の職人の手によって手掛けられているが、手描き等人の手のぬくもりが感じられる温もりのある作風は、絵付師全員が女性であることと無縁ではないだろう。
さらに、日々ハードに使用されるプロユースの器づくりのノウハウが家庭用普段使いの器に活かされているのも特筆すべき点で、高温で長時間かけてしっかり焼くことで、20年でも30年でも使い続けることができる品質が実現されている。
同窯は有田の中心街から車で10分ほどの美しい山あいにある。森に向かって開かれた広場を囲むようにショップとギャラリー、アウトレットショップが併設され、ゆったりと静かな時間をお愉しみいただける。オンラインでも一部購入可能だが、ここでしか取り扱いのない限定品等が揃っているので、機会を見つけて器探しの旅をぜひ一度。

製品によってはマシンを使って成型するが、熟練の腕を必要とする高度な作業だ

生地製造工程の一つで、成型した生地の淵を削って丸くなめらかにする「生地削り工程」の様子

「天啓花蝶紋」は、誕生から30年を経た現在も愛され続ける同窯を代表する絵柄 「天啓赤絵」は中国の明末・天啓時代に景徳鎮の民窯で焼かれた赤絵の焼きもので、誕生当時の有田の窯元の気風が反映された逸品だ 小判皿やパスタ皿等、シリーズで揃えることができる


鎖国統制下の江戸時代、唯一交易のあったオランダ「東インド会社」のマーク「VOC」を皿の中央に入れた皿が有田で焼かれており、有田焼が輸出されていたことがわかる その皿を同窯にて再現した「染付芙蓉手VOC」
店舗情報
福珠窯
住所 | 佐賀県西松浦郡有田町中樽2-30-12 |
電話番号 | 0955-42-5277 |
営業時間 | 11:00~17:00 |
定休日 | 不定休 |
ホームページ | http://www.fukujugama.co.jp/ |