古式健珍蕎麦 慈久庵
そば畑によって蘇った里山で
絶品の粗挽きそばを味わう至福の時間
常陸太田市は国内でも屈指の蕎麦処だ。玄そばの最高峰との呼び声の高い「常陸秋そば」を現地で食することは、そば好きのまさに憧れ。そして、この地にご紹介する〈慈久庵〉がある。店主・小川宣夫氏は、粗挽きそばを考案した東京の名店「本むら庵」出身で、8年の修行を経た後、東京阿佐ヶ谷に〈慈久庵〉を独立開業。2002年に故郷である常陸太田に店舗を移転し22年になる。
粗挽きそばの第一人者としてその名を知られる小川氏だが、この〈慈久庵〉を立ち上げた根っこにあるのは、地元の里山を再生したいという強い意志だ。玄そばは、品質の確保はもちろんのこと農家を応援する意味合いからも、地元で生産される常陸秋そばを高値で買い取り、同時に自ら畑に出てそば栽培に精を出す。日本国内でも今や希少となった焼き畑農法を再興して22年。誰からも見放されていた土地が今では息を吹き返し、茎が太く生命力に満ちたそばがたわわに実る。
こうして集めたそばは、一年間寝かせてから石臼で自家製粉する。同品種でも畑によって性質が異なってくるため、畑によって袋を分けて、寝かせた粉と新しい粉をブレンドし、基本は九一。「ホシ」と呼ばれる黒い斑点が浮かぶそばは、まずその佇まいを愉しみ、その香りや喉ごしと共に、大中小と様々な粒感の違いを楽しみたい。
また、〈慈久庵〉では、地元の無農薬有機野菜を使ったけんちん汁をつけ汁にする茨城の郷土蕎麦「古式けんちんそば」も味わえるので、是非お試しを。古式けんちんそばには茹で置きのそばを使うが、出汁の効いたつけ汁にひたしたそばを“かっこむ”のが旨い食べ方だ。
この地方に伝わる曲がり家と欧州の田舎家を合わせた茅葺屋根の建物は小川氏が設計したもので、開店前から長蛇の列。接客や調理、片付けまでの全てを小川氏一人でこなすため、席に着いてからも正直かなりの時間がかかる。ご来店の際には、里山の景色や館内の心地良さに浸りながら、ごゆるりと。そばを待つその時間そのものも、貴重な体験として、どうぞ味わっていただきたい。
店舗情報
古式健珍蕎麦 慈久庵
住所 | 茨城県常陸太田市天下野町2162 |
電話番号 | 0294-70-6290 |
営業時間 | 11:30~14:30(売り切りじまい) |
平均予算 | 3,000円 |
定休日 | 火・水・木曜日 (祝日の場合営業・翌日休み) |
ホームページ | https://www.jikyuan.co.jp/ |
※商品価格は全て税込価格になります