大海酒造
現代の名工、黄綬褒章受章の杜氏と次世代が挑む
世界を見据えた芋焼酎
各界から卓越した技能者を表彰する制度として毎年注目を集める「現代の名工」。2021年度に選出された名工の一人が、鹿児島県の芋焼酎蔵〈大海酒造〉の杜氏・大牟禮良行氏だ。
大牟禮氏は1981年に大海酒造に入社。前杜氏・黒瀬明氏のもとで長年の修業の末、1998年にわずか44歳で杜氏職を引き継いだ。杜氏としてはまだまだ若い年齢ながら、歴任2年目にして手掛けた芋焼酎が平成13年の鹿児島県本格焼酎鑑評会において優等賞第一位(総裁賞代表)を受賞。技術の研鑽のために毎年厳冬期に秋田県の日本酒蔵を訪れて日本酒造りを学ぶことで、自身の焼酎造りに活かす等、その動向が常に注目される杜氏の一人で、現代の名工に続いて2022年には「黄綬褒章」を受賞する快挙を成し遂げた。
大牟禮氏の醸す芋焼酎の中で一番特徴的なものは、「海シリーズ」に代表される芋焼酎とは思えないほどフルーティーな香りが漂い、かつ軽快に飲めるタイプの焼酎だろう。芋焼酎醪の低温発酵と巧みな減圧蒸留操作の技術は県内屈指と言っても過言ではなく、芋焼酎を飲みつけない初心者や女性にも抵抗なく飲んでいただける焼酎の開発が、ブームの火付け役となったことは周知の事実。
現在大牟禮氏は、清酒の段仕込みさながらの“並行複発酵”の芋焼酎造りに挑戦中だ。一般的に二次仕込みで完結する芋焼酎だが、並行複発酵の場合は三次仕込みまで行われる。第一弾となる試行には、原料芋に「こないしん」を使い、カプロン酸系高精製の香り豊かな酵母を使用。「まだまだ改善の余地はあるが、大海酒造の一つの財産になれば」と、大牟禮氏。同酒造では次世代の蔵人が日々酒造りに邁進し、新杜氏候補も順調に成長中だ。この並行複発酵の芋焼酎の研究も、次世代へとしっかりと受け継がれていくに違いない。
また、同蔵は、いち早く海外への展示会にも積極的に参加をし、海外へと焼酎の魅力を発信する蔵でもある。〈大海酒造〉のさらなる挑戦を楽しみに待ちたい。
店舗情報
大海酒販株式会社
住所 | 鹿児島県鹿屋市寿3-2-8 |
電話番号 | 0994-42-5238 |
ホームページ | https://www.taikai.or.jp/ |
製造元:大海酒造株式会社
住所 | 鹿児島県鹿屋市白崎町21-1 |
電話番号 | 0994-44-2190 |