天吹酒造合資会社
創業330有余年の老舗蔵が挑む
花酵母を使った希少な酒造り
ご紹介する〈天吹酒造合資会社〉の創業は、江戸中期の元禄元年まで遡り、330有余年にわたり蔵を守る、佐賀の老舗酒造である。敷地内には長い歴史を経た蔵や建物が、改修を加えながら多数現存し、国の登録有形文化財や、佐賀県の「22世紀に残す佐賀県遺産」にも登録されている。
酒造りの好適米となる「雄町(おまち)」や「山田錦」、佐賀平野で育てられた酒米を中心に、脊振山系のまろやかな伏流水を使い酒造りを行う同蔵。大きな特徴は、花酵母を使っていること。一般的には、清酒のもろみから分離した菌株を培養した清酒酵母を利用するのに対し、同蔵では花から分離された酵母を使う。使われる花酵母は、なでしこ、ひまわり、月下美人など様々。そうして出来る酒は、味わいや香りにはっきりとした違いがあり、実に個性豊かだ。やわらかく華やかな香りのものから力強く味わい深いものまで、多種多様な顔を持つ花酵母を使った酒は、長い年月をかけて受け継がれてきた酒造りの技術と、常に新しい酒造りへと挑む蔵人の、想いの結晶といって過言ではない。
いずれの酒を選んでも期待を裏切ることはないが、初めて同蔵の酒をお試しの方であれば、酒米「雄町」にしゃくなげの花酵母を使い、日本酒の最も伝統的な製法である生酛(きもと)造りで醸した「生酛造り 純米大吟醸 雄町」はいかがだろう。しっかりとした酸が雄町の旨みを受け止める酒質は、料理との相性も良く、燗で味わうのもおすすめだ。同蔵で使う花酵母は主に11種類。ウェブサイトにはそれぞれの香りの特長や花言葉が紹介されているので、その時々の気持ちに応じた酒を味わってみるのも良いものだ。
花酵母で醸す「天吹」は、海外でも高く評価されている。心地良い香りに酔う、大人の時間を運んでくれる名酒である。
店舗情報
天吹酒造合資会社
住所 | 佐賀県三養基郡みやき町大字東尾2894 |
電話番号 | 0942-89-2001 |
営業時間 | 8:00~17:00 |
定休日 | 土曜日、日曜日、祝日 |
ホームページ | https://www.amabuki.co.jp |