ご紹介するのは、“建築を通して日々に愉しみを忍ばせる”をコンセプトに様々な建物を手がける〈小舎ノ工房（こやのこうぼう）一級建築士事務所〉。住宅、事務所、医院、商業施設などの建築設計をはじめ、プロダクト・造園・アートといった周辺領域までをトータルにディレクションし、空間にまつわるあらゆる要素を一貫して手がけている。同事務所が大切にするのは、ヒト・モノ・コトが持つ空気感を空間に映し出すこと。日常の中に潜むささやかな美しさに光をあて、時の経過や体感を通して、寛容で奥行きあるものづくりを目指している。
今回は、地元から厚い信頼を受ける電気工事会社の新社屋をご紹介。地域が活性化する一端を担い続ける、という企業の考えを汲み、社屋の道路に面した部分を地域に開かれた空間として設計。企業理念の“幸せな日常を守る”という思想は、大きな三角屋根と建築を囲うように配置された鉄柱、そして、それらに包まれた空間の中で人々が過ごす、という建築構成によって表現されている。また、“幸せな日常”とは単調な毎日ではなく、予期せぬ愉しみに出会えるものだと捉え、内部空間にはあえて不規則な寸法の柱を採用し、空間に揺らぎやリズムを与えている。
このように、公共の空間でも個人の住宅でも、太陽の光や季節のうつろいなどの自然の力と、その空間で過ごす人の動作や視線、動線といった要素を丁寧に読み解き、そこにさりげない発見と愉しみをそっと仕込む。その積み重ねによって生まれた空間には、人も地域も元気にする力があり、集いたくなる、小さなときめきが詰まった居場所になるはずだ。
建築設計に関する相談はもちろん対応可能だが、まずは〈小舎ノ工房〉の手掛けた空間を体感してほしい。建物に一歩足を踏み入れると、凛とした空気感の中にやわらかな温かみを感じられるだろう。ふと寄ってみたくなる居場所を、きらきらした気持ちになる事柄を、長きにわたって愛される空間を〈小舎ノ工房一級建築士事務所〉がきっと叶えてくれるに違いない。
