岡埜栄泉総本家 いろがみ
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包みを開けると、フランス産の小麦を使った生地の甘い香りが鼻孔をくすぐる。柔らかく炊き上げた粒あんとフランス産発酵バターのスライスをたっぷりと挟んだ「香 りのバターどら焼き」は、いろがみの定番として人気のアイテム
一つひとつに真心をこめた
145年の系譜を受け継ぐ新しい和菓子
佇まいが何ともやさしく、思わず笑顔を誘われる。そして、一つひとつを愛しみ、大切に作っていることが伝わってくる。<岡埜栄泉総本家 いろがみ>の店頭に並ぶのは、そんな珠玉の和菓子だ。
創業母体の「岡埜栄泉総本家」は、東京上野で145年愛され続けた伝統ある菓子舗である。2018年にその幕を下ろし、“本当にやりたかったこと”を実現するため麻布十番に誕生したのが、この<いろがみ>だ。無垢な白とナチュラルウッドで構成されたシンプルな空間は、あくまでも和菓子が主役。ショーケースを排し、出来立てを棚に並べていくスタイルが新鮮だ。ガラス張りの壁越しに作業現場を見ることができるので、菓子が出来上がる工程や食の安全性をご自身の目で確かめられるのも嬉しい限り。
この<いろがみ>を切り盛りするのは20~30代の女性たち。美味しいものを作ることだけを追求し、名物である「香りのバターどら焼き」をはじめ、金つばや大福も、すべてその日の作りたて。美味しさが犠牲になる脱酸素剤や添加物は一切使わない。素材選びは直接現地に足を運ぶことを基本に、小豆も北海道産だけにこだわらず石川県のものも使う。小麦は群馬産からフランス産まで。一つのブランドに限定せず、菓子の種類によって臨機応変に素材を選ぶことも同店のこだわりの一つと言える。また、百貨店やお取り寄せの扱いはなく、その日の作りたてを店で売っている。
上野の顔として愛されてきた老舗和菓子店は、麻布でもすっかりおなじみになり、何度も足を運ぶファンがどんどん増えている。上生菓子から気軽なおやつまで。心を伝える手土産に、ほっこりと甘い<いろがみ>の和菓子はいかがだろう。
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いろがみの和菓子は全て手作りが基本。味の決め手となる餡炊き作業。饅頭を手包みしている作業の様子。これらの工程をすべてガラス越しに見ることが出来る
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上生菓子はお茶席だけのものと限定せずに、ご自宅でお茶やコーヒーと併せてお召しあがりいただく のもおすすめ。季節に合わせて、練り切りや外郎(ういろう)、お饅頭など、5 ~ 7 種類が揃う
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ショーケースのない店内には自然光が溢れ、心地よい空間 がゲストを迎える。空間のインテリアはスタッフが全員で アイデアを出し合いこだわったもの
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東京ではほとんど出回ることのない貴重な能登産大納言小豆を使った能登産大納言金つば。ぎりぎりの 甘さに抑えてあるので、大納言小豆本来の美味しさを堪能できる
店舗情報
岡埜栄泉総本家 いろがみ
住所 | 東京都港区麻布十番2-18-8 グランルーブル麻布十番 1F |
電話番号 | 03-6435-0207 |
営業時間 | 10:00~18:00 |
定休日 | 月曜日、火曜日 |