ご紹介する〈日本橋人形町 川田〉は、「いつ訪れても間違いない」と数多くのファンを持つ日本料理店である。
店主の川田治司氏は、銀座にある日本料理の名店「井雪」で13年間修業し、料理の世界に入って20年の節目で独立し、2019年に同店を開業した。
店は、東京メトロ日比谷線の人形町駅A6出口から100ｍほどの場所に建つビルの地下1階。地下へと続く外階段を降り、〈日本橋人形町 川田〉の表札のある扉を開けて中に入ると、川田氏とスタッフが笑顔で迎えてくれる。
白木で設えられた店内は、カウンターに8席が配されたシンプルな空間。目の前で料理をする川田氏の様子を眺めながら、肩肘張らずにゆっくり食事を愉しめる。カウンターだけの店にしたのは「出来立ての一番美味しい瞬間に味わってもらいたい」との想いから。
季節ごとに旬を迎えた食材を使い、敢えて余計な手は加えず、食材が持つ美味しさや持ち味が引き立つよう心掛けた「おまかせコース」がここ〈川田〉の真骨頂。さらに「訪れていただいたお客様と向き合い寄り添いながら、当たり前のことを当たり前にできる店でありたい」と語るように、お酒や食事の進み具合に合わせてタイミング良く次の料理を出したり、予約時に予め苦手なものがあれば、料理内容を変更してくれるのも嬉しい心遣い。
食事は一斉スタート。酒類は日本酒を中心に料理と合う銘柄を用意している。器は食材の次にこだわり、出会った時のインスピレーションや、盛り付ける料理を思い浮かべながら選んでいるというので、器と盛り付けられた料理の景色もどうぞ一緒にお愉しみを。
正統派の日本料理を味わえる〈日本橋人形町 川田〉。派手さや驚きはないものの、一度訪れたらきっと「また来よう」と思っていただける、そんな料理の数々を堪能できる店である。
