日永うちわ 稲藤
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友禅柄のしなやかなうちわ。持ち手が筒状になっているのは、日永うちわの特徴
江戸から300年の歴史を紡ぐ
三重県指定伝統工芸品「日永うちわ」の店
東海道「間の宿 日永」で、日永うちわが作られ始めたのは今からおよそ300年以上前の江戸時代のこと。お伊勢まいりの土産として江戸より続く伝統と技を今も尚、受け継ぐのが〈日永うちわ 稲藤〉だ。扇風機やクーラーなどの出現により衰退の一途を辿り、全盛期は十数軒あったうちわ屋も現在では同店を残すのみとなった。
日永うちわを後世に残すため、伝統を絶やさぬため、守るだけでなく攻めの一手で新しい発想を取り入れながら受け継がれた技法が生み出す独自の風合いと持ち味を活かし、温故創新の精神で日々邁進してきた。
一本の細い竹をそのまま使っているので柄が丸く、手によくなじみ持つとひんやりと心地よい感触が愉しめるのが、日永うちわの特徴だ。また、釣竿と同じ女竹を使用しそれを細かく割き、交互に袋状に編むことで竹が弓のようにしなるのも面白い。立体的な竹を平らな扇状に張り上げるので加工が難しく、高い技術が必要とされるが、そのため扇ぐ風が柔らかくなびくという、何とも優雅な持ち味を醸し出している。
1994年に三重県伝統工芸品に指定される。2008年消臭うちわ、2010年香るうちわ、虫よけうちわを発表。2011年には、三重県お見事企業グランプリ特別賞を受賞している。更には、2012年ニューヨーク・パリでの海外展示会初出展。2015年ミラノ国際博覧会「三重WEEK」にて伊勢型紙うちわ、香るうちわ、友禅うちわが展示される。2016年に発表した海女うちわは「伊勢志摩サミット」で各国から視察に訪れた際の記念品に使用された。色とりどりの個性的なデザインもユニークで、オリジナルのうちわを作れる体験教室も好評だ。あなただけの1本を是非、お手元に。
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江戸より続く300年の伝統と技を、今も手作業で丁寧に作り続けている
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県内外や海外のゲストからも大変好評なうちわ作り体験
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2015年に出展したミラノ国際博覧会の展示風景
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伊勢志摩サミットで訪れた視察の方に記念品として配られた「海女うちわ」
店舗情報
日永うちわ 稲藤
住所 | 三重県四日市市日永4-4-48 |
電話番号 | 059-345-1710 |
営業時間 | 10:00~18:00 |
定休日 | 火曜日・水曜日・お盆・正月 |
ホームページ | https://www.inatoh.co.jp |