2023年11月20日、パリで開催された世界的なグルメイベントである「LA LISTE」のガラディナーにおいて、日本酒としては初めて選ばれ、世界の名だたるトップシェフや食通たちを唸らせたのが、〈株式会社 瀬戸酒造店〉の醸造する「Setoichi ※O」である。
蔵の創業は江戸時代の終盤、時代が明治へと変わろうとしていた1865年。現在の開成町はかねてより酒米づくりが盛んな足柄平野に位置し、かつては酒田村と呼ばれていた。周囲にはのどかな田園風景が広がり、澄んだ水が流れる水路のほとりに同社の酒造蔵が建つ。
蔵では「酒田錦」を代表銘柄に、最盛期には約10万リットルもの酒を醸造するも、杜氏や蔵人の確保が困難となり、1980年から酒づくりの中断を余儀なくされる。再始動は38年後の2018年。そこには、「綺麗で美味しい水に恵まれた開成町の魅力を広く世に伝えたい、自分たちの酒蔵を町の活力にしたい」という想いがあった。
蔵を新しくし、杜氏を迎え、酒づくりの軸に据えたのは、「伝統」、「革新」、「開成町らしさ」の3つのコンセプト。「伝統」を象徴するのは、古い蔵に住み着いていた蔵付きの酵母で醸す「酒田錦」。「革新」を象徴するのは、日本酒の多様な愉しみ方を提案する「Setoichi」シリーズ。そして地元開成町の町花である紫陽花から採取した酵母で醸す「あしがり郷」シリーズ。蔵には最新設備が備えられ、厳選した酒米を使い、杜氏の経験と昔ながらの丁寧な手法で醸造することを大切にしている。
蔵の再始動以来、「インターナショナル ワインチャレンジ（IWC）」や「Kura Master」といった世界で行われるコンクールにて6年間で156もの賞を獲得する快挙を成し遂げ、2024年には世界の酒蔵ランキングで8位となった。
酒蔵には直売所があり、日本庭園を見ながら有料で試飲もできる。さらに、自家製の醤油麹や塩麹で漬けた肉、魚、旬の野菜を七輪で焼きながら飲み比べができる酒蔵見学も非常に人気が高い。この体験ツアーは「Otonami」から予約できるので、ぜひご参加を。
多彩な銘柄の中から好みで選ぶのはもちろん、食事にもよく合う日本酒を揃えているので、さまざまな味わいを愉しんでいただきたい。
