〈焚久味〉は、繁華街から徒歩圏内にありながら喧騒から離れた静かで落ち着いたロケーションにあり、訪れるたびに非日常を感じさせてくれる懐石コース料理の店。京都で長年にわたり腕をふるっていた料理人・八重澤正樹氏の下で料理の腕を磨いた店主・大澤一雅氏が、女将と共に切り盛りしており、メニューは2009年のオープン以来、完全予約で承る懐石コース料理のみ。近年なかなか予約が取れない状態が続いていることからも、その高い人気が伺い知れる。
帰り際、「良い時間だった」と思っていただきたいという店主の言葉通り、その日の料理はお客様に寄り添って作られる。少食の方、しっかり食べる方、お酒を飲まれる方、お客様ごとに異なる献立で対応し、以前の来店時と料理内容が重複しないようにコースを組み立ててくれるだけでなく、「あの時食べた味をもう一度食べたい」といった要望にも快く応じてくれるため、記念日や接待といった特別な日に同店を選ぶお客様が多いという。
食材は八戸、下北、鰺ヶ沢、深浦から毎日取り寄せる新鮮な魚介が中心で、特にノドグロ、クエ、アマダイといったプレミアムな県産魚に重点を置いている。トレンドに追随せず時代に流されないことを信条にしながら、伝統的な調理法によって丁寧に仕立てられた料理の数々は、それぞれの食材の特性を良く理解して低温調理等は1℃単位で調整している。その繊細さと職人気質のこだわりには驚かされるばかりだ。
真に上質な食事処には、料理人の技と感性が光る美味しい料理はもちろんのこと、心尽くしのおもてなし、細部まで気配りの行き届いた居心地の良いしつらえ等が全て揃った上に、さらなる“お客様が満足する理由”が存在するもの。〈焚久味〉を訪れれば、必ずや満足いくひと時を体感できるだろう。
