心地よい未来のために
始めよう、SDGs
vol.15
- 14 海の豊かさを守ろう -
持続可能な開発目標であるSDGs(Sustainable Development Goals)は、
国連サミットで決まった新たな国際目標。貧困、飢餓、健康、教育、エネルギー、まちづくりなど
17のゴールと169のターゲットからなり、
地球上の「誰一人取り残さない」ことを誓っています。
日本でも国や地方自治体、企業でさまざまな取り組みが始まっています。
ここでは各テーマと、特徴ある事例をご紹介。
該当する企業の取り組みに賛同したり、商品を購入したりすることで、
あなたもSDGSの活動に協力できます。
今回は、14番目のテーマ「海の豊かさを守ろう」についてお伝えします。
プラスチック廃棄量世界2位!
喜べない事実を改善するには…?
水の惑星と言われる地球。私たちが住む地球は、約70%が海といわれています。
私たちが住む陸に多くの命が存在しているように、海の中にもたくさんの生き物がいます。私たちは海と、海の中に住む生き物から多大なる恩恵を受けて暮らしています。
ところが、その大切な海が、今、陸に住む私たちの影響を受けてひどいことになっています。
ひとつが、海洋汚染。陸からごみや汚水が流れ込み、海を汚しています。中でもプラスチックごみは深刻です。世界中の海に流れ込むプラスチックごみは毎年約800万t。海の中で劣化した破片を、海の生き物がエサと間違えて飲み込んでしまう映像を見た方も少なくないでしょう。もうひとつは、海洋資源の減少。世界的に海産物の需要が増え、魚介類が過度に消費され続けています。ほかにも、海の酸性化や酸素不足など問題や山積みです。
陸に住む私たちの小さな行動変容は、海に対して大きな影響を及ぼします。特に日本はプラスチックの使用量が多く、アメリカに次いで2番目。リサイクルや分別は、だれもが手軽にできる改善方法です。しかし、最も理想的なのは、不要なプラスチックを出さないこと。レジ袋を買わずに済ませられるようエコバッグを使用したり、ペットボトルの飲み物を購入せずに、水筒を活用したり。海産物を買うときは、海のエコラベルと呼ばれているMSC認証マークや、持続可能な方法で養殖された水産物を示すASC認証マークなどを選んで購入するなど方法はいくらでもあります。
自分のためだけでなく、海に住む生き物たちのためにも、自分の行動を見直してみましょう。
目標14 海の豊かさを守ろう 詳細はこちら
NPO法人
荒川クリーンエイド・
フォーラムの取り組み
~主体的なごみ拾い。数えてデータ化、
参加者の気づきを促進~
NPO法人荒川クリーンエイド・フォーラム(東京都江戸川区)は、「調べるごみ拾い」を中心としたさまざまな活動を実施すると同時に、荒川の環境を総合的に考え、市民の意識の向上をはかっている団体です。
荒川クリーンエイドは、同法人の中心的な活動。河川敷のいろいろな場所でさまざまな人たちがごみを拾いながら、河川ごみ、水質、自然回復などの問題を考えて、豊かな自然を取り戻すことを目的としています。この活動では、自治体や企業、学校や市民団体など、さまざまな団体が参加者を募り、各開催場所で主体的にごみ拾いをします。活動範囲は、荒川上流の埼玉県秩父市から東京湾の葛西海浜公園東まで。年間150会場以上で開催され、1.3万人が参加する大規模な活動です。特徴は「数えながら」拾うこと。データは同法人が集約し、今後に役立てます。ごみの種類と数を「見える化」することで、参加者の自らの気づきを育てています。
NPO法人荒川クリーンエイド・フォーラム
高知大学の取り組み
~高知の海を研究で海の未来を予測
海洋研究の主要スポットに~
高知大学(高知県高知市)は、海に囲まれた四国・高知にある国立大学です。
同大学では、目標14に当てはまる研究をいくつも実施しています。そのひとつが「温暖化の最前線―高知から日本の海の未来を考える」という取り組みです。
高知県沿岸は温帯性生物の南限。同時に黒潮で南から熱帯性生物が運ばれてきて、海水温が上昇してしまうため、生態系構成種の熱帯化が進みやすいのだそうです。そして、海水温の上昇率は世界平均の2倍以上。サンゴの定着が著しく、そこに生息する魚類などを観測することで日本の海の未来を予測できます。本研究では、土佐湾の沿岸生態系の変化を捉え、その対策に向けた基礎情報を国内外に発信。その成果の一部はIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次報告書でも紹介され、2017年にはフランス科学探査船タラ号の温暖化と生物多様性に関する国際合同調査が土佐湾で行われるまでになったそうです。
高知大学