谷川木工芸
香川の伝統工芸「讃岐桶樽」
伝統を継承し、新しい世界を追求
指先ほどの爪楊枝から、家具や暮らしの道具類、人が暮らす家や橋といった建造物まで、日本人は木と共に歴史を重ねてきた民族だ。時代と共に、その技と伝統を支え製造する職人が減っていく現状がある。そんな中、ご紹介する〈谷川木工芸〉は、香川県の伝統工芸品である「讃岐桶樽」を後世へと遺すため、日々奮闘する木工所だ。
創業初代がすし桶製造所として同社を立ち上げたのは、今から65年前の昭和30年のこと。以後、すし桶を中心に製造に励み、平成26年に2代目へとバトンが渡ったことを機に、社名を「谷川木工芸」へと改めた。そこには、すし桶にこだわらず、木桶の可能性を追求していきたいという2代目・谷川雅則氏の想いがこめられている。
現在では、地元の「道の駅しおのえ」の足湯、神社仏閣に納める担い桶、風呂桶や椅子、おひつといった日用品まで幅広い木製品を手掛け、個人宅をはじめ、鮨店や料亭、セレクトショップ、ゲストハウス等、食にこだわる幅広い層から愛用されているが、その根本となるのは、”手”が生み出す“木の温もり”だ。
製品には逸材として名高い奈良県の吉野杉や国産桧を使い、職人が丁寧に仕上げていく。讃岐七富士の一つ、白山の麓の工房には、購入から数十年を経た桶が修理に持ち込まれることもある。経年変化を愉しめるのも良材を用いて丁寧に作るからこそである。
近年では“持ち運べるおひつ”をコンセプトにした弁当箱「讃岐弁」が大ヒット。水分を調整することでご飯の甘味が増すおひつの特性を活かしたこの「讃岐弁」は、インスタグラムといったSNSでも話題になり、数万人のフォロワーがいるほどだ。手に取ると思わず笑顔になれる、心やすらぐひと時を彩ってくれる木の道具や器を、日々の暮らしに取り入れてみてはいかがだろう。
店舗情報
谷川木工芸
住所 | 香川県木田郡三木町大字下高岡1089-2 |
電話番号 | 087-898-0564 |
営業時間 | 9:00~18:00 |
定休日 | 日曜日、祝日 |
ホームページ | https://www.kinoibuki.com |