フルオーダーメイドの靴というと、フォーマルなデザインをイメージする方が多いのではないだろうか。ご紹介するオーダーメイド靴専門工房〈CITTA〉は、ドレス・ビジネスシューズはもちろんのこと、カジュアルなコンフォートシューズや武骨なブーツも得意とする工房だ。
工房主の日髙準氏が目指すのは、“日々信頼して使える道具”としての靴。足の計測から始まり、木型を削り、最後の仕上げまで全ての工程を自身で行う。
工房を訪れたお客様とは、時には靴と関係の無いような雑談も交えながら、リラックスしたコミュニケーションを心がける。その方の雰囲気、装い、ライフスタイル、そして足のお悩みや靴をオーダーするきっかけ等の情報を手がかりにイメージを膨らませつつ、同時にご要望を伺い、提案や質問、説明を進めながら革の選定やデザインの詳細をお客様と共に固めていく。製作の途中も何気ない会話の一端を思い出し、ディティールに落とし込むこともしばしばだと言う。
そのスタイル故に、オンラインでのショップやサービスは展開しておらず、直接工房での対応のみとなる。紹介での来客が続いたり、成人・就職・結婚・昇進といった人生の節目の記念に自分だけの一足をオーダーに訪れる方が多いのも納得だ。
尚、工房では靴づくり教室も開催しているので、ウェブサイトをご覧の上、お気軽にお問い合わせを。
また、工房の2階には、ヴィンテージセレクトショップ〈HARBOUR〉があり、こちらを目当てに遠方から訪れるファンも多数。古き良きものを愛してやまない日髙氏のもうひとつの顔だ。
日々の暮らしの中で機能し、豊かにしてくれるかという視点で厳選されたヴィンテージの品々。当然コンディションの良い物のみが並ぶ。こちらも日髙氏からひとつひとつの品の背景やストーリーを聞きながら楽しむことができる。靴づくりとも通じる氏の揺るぎない価値観が垣間見える。
ほのかに革の香りが漂う工房と、古き良き世界観が詰め込まれたショップ。さらには店舗周囲のかつての城下町の風情を残すのどかな雰囲気も魅力的で、ゆっくり時間を取って訪れていただきたい。
