個人住宅・町家リノベーション・ギャラリー・店舗・オフィス・公共施設を手がけ、米国での日本文化施設の設計など海外でのプロジェクトにも携わる一級建築士事務所〈STUDIO RAKKORA ARCHITECTS〉。
同社が手掛ける建築は、素材、構造、空間ともにシンプルだ。しかし、一つひとつのディテールは極めて繊細で考え抜かれたものであり、それぞれに必然性がある。その前提となっているのが、建築のみならずその周辺まで意識をして、社会に貢献する場をつくり出したいという思いだ。
まず、自然や町並みといった建築の周りにある風景や環境、さらにその背景としての地域に積み重ねられた歴史を読み解くことを重視する。そして、それらと建築の調和を見出すことで、土地の文化を感じながら暮らすことができ、さらに、暮らしそのものが、その土地の文化をはぐくむような建築を実現できると考える。また、伝統的な町家や民家のように、内外の連続性を空間に生み出す一方で、プライバシーにも配慮するなど、時代によって変化する機能性やニーズに対するしなやかさを兼ね備えることも大切にしている。
次に、建築の形態や素材が持っている経済的・環境的な持続可能性を探求し、建築におけるエネルギー効率や耐久性の問題、素材の生産・流通面での倫理性など、その選定において深く考察することも建築家としての社会的責任の一つだと考える。持続可能性の追求によって、建築の中に取り入れられた多くの自然素材が、経年変化によって少しずつ味わいを増すことで、空間に時間の連続性を与えることにもつながっている。
このように、〈STUDIO RAKKORA ARCHITECTS〉が生み出す建築は、地域性や持続可能性という概念を土台に、空間や時間に実体としてのつながりを持たせ、人々が豊かさを感じるいきいきとした場の雰囲気をつくり出す。それらは、建築の外側へと広がっていき、周辺の環境もプラスの方向へと変えていく。
