六本木交差点から離れた閑静な場所。看板はなく、あるのは「B」の文字が刻まれた表札のみ。知らなければ通り過ぎてしまう〈WINE LOUNGE BANQUE〉は、とあるビルの地下に広がる大人のための隠れ家だ。細部に至るまで作り込まれたフロアは、中世ヨーロッパの古城を思わせる佇まい。店名のバンクに由来するエントランスの重厚な金庫の扉など、空間の至る所に遊び心が満載だ。心地良いクッションが配されたテーブル席の各席からは約3千本のワインが開栓の時を待つセラーを望み、愛好家にとってはまさに至福の眺めに違いない。
同店では、気軽に味わえるタイプから百年以上の時を重ねたヴィンテージものや希少な銘柄も多数所有し、ワインのボトルの形状やラベルの変化を愉しむ時間は、まるで美術館へと足を運んだかのようだ。綺麗に磨き上げられたリーデル社のハンドメイドのグラスを中心に、ワインのタイプに寄り添う様々なタイプのグラスを揃え、ワインの味わいを極限まで高めるように配慮されている点もうれしいかぎり。
また、華やかな香りのワインや飲み頃を迎えたワイン同様、香り豊かなメニューや食べ頃を意識した熟成感のある極上チーズやトリュフを添えた揚げたてポテトチップスといった贅沢なおつまみをはじめ、フレンチ・イタリアンで修業を重ねたシェフが手掛けるアラカルトやコース料理のご用意もあり、ペアリングやマリアージュも思いのままだ。
さらに、時間制限がないのも粋な計らい。ホスピタリティに富んだスタッフが、つかず離れずのほど良い距離感のサービスを心がけてくれるので、大人にだけ許されるゆったりとした時の流れをワインとオペラやクラシック、ジャズといった極上の音楽とともに心行くまでお愉しみいただきたい。
