北海道随一の繁華街すすきので、どこにもないスタイルの鮨を食べさせてくれるとの評判を取るのが、ご紹介する〈ひぜん〉だ。
お客様をお迎えするのは、地下鉄すすきの駅から至近の札幌駅前通りに建つモダンなビルの9階。黒を基調にしたシックな店内には、カウンターに6席のみが用意され、まるでお洒落なバーさながら。多くの人で賑わう街の喧騒は届かない静かな空間で、至福の時間をゆっくりと過ごしていただける。
店主の片江力氏は、和食の店で経験を積んだ後に鮨職人となり、和食や鮨の技法を踏まえた上で、枠にとらわれず自由に表現することが身上だ。例えばボタンエビの身をエビミソでヅケに仕立てたり、ヤリイカの握りにホタルイカのタタキをのせたり…。そこには「誰も食べたことがない鮨を握りたい」との想いがある。
夜の席は、握りとつまみを組み合わせた2種類のおまかせコースが用意され、北海道で水揚げされる魚介を中心に、魚によっては昆布〆など旨みを引き出すひと手間を施し、シャリには北海道産の「ななつぼし」を使い、ほど良いサイズに握られた鮨は、口に入れた瞬間にシャリがほどけて魚介の旨みが広がる。食材は特に北海道産にこだわっている訳ではなく、全国で旬を迎えたものを取り寄せ、インスピレーションの赴くままに最高のコースを組み立てることが片江氏の持ち味。つまみに関しても例えばワインを愉しみたいというリクエストがあれば、可能な限りその要望に対応してくれる。
夫婦で切り盛りする店では、片江氏の奥様が日本酒の目利きであり、おすすめの銘柄が常に40種類ほど、他にシャンパンやワイン、ビール、焼酎、ウィスキーも用意しているので、お好みのお酒と一緒に美酒と美食の時間を存分に愉しんでいただきたい。
さぁ、今宵はどんな鮨と料理が愉しめるだろう…。ここ〈ひぜん〉には、訪れるたびに美味しいサプライズが待っている。
