Groover Leather

Groover Leatherグルーバーレザー

駆除される鹿の革に独自の染めを施した
時代が求めるエシカルなレザーアイテム

　自然豊かな長野県は、当然のことながら野生の生き物が数多く生息している土地柄だ。ただし、全国でも問題視されている、鳥獣による農作物被害は長野県においても深刻で、全国で年間を通して約60万頭もの鹿が害獣として駆除されている現状がある。駆除された鹿は約2割が食用として活用されているが、残り8割は廃棄される。その中でも革として利用されるのはほんの少しに止まっており、そこに光をあて、ジビエレザーとして活用する流れを切り開いたのが革職人であり代表である徳永直考氏と原山純一氏が立ち上げた〈グルーバーレザー〉だ。

　2017年、長野市の茶臼山動物園南入口下の小さな店舗からスタートした同店は、素材にこだわり、使いやすさを徹底的に追求し長年使用しても、ストレスを感じさせない商品づくりが多くのレザーファンから支持を受け、今やその名は全国区。現在は千曲市に工房を構えている。

　イタリアンレザーや栃木レザーなどの上質な牛革を用いたバッグ・財布・革小物といった多彩なアイテムを手掛ける中、近年力を入れているのが、長野県内で駆除された鹿革を使った製品。鹿革は軽さと柔らかさが特徴で革のカシミアと称される、しっとりとまとわりつくような手触りも魅力だ。この鹿革の染色を2022年7月に鹿革の本藍染を松本市「浜染工房」に依頼。2023年6月には地元千曲市であんず染めを手掛ける「更級花織工房」と鹿革のあんず染めに成功し、長野県のアンテナショップ「銀座NAGANO」にて販売を開始。2023年夏には藍染の絞り染め、難しいとされている型染めの販売が始まった。

　長野市で駆除された鹿革「信州鹿革」の導入と同時に立ち上げた「信州エシカルプロジェクト」は、ジビエレザーを中心に産業と共に継続していける持続可能な活動として、メディアでの紹介をはじめ、地元の学校等でのワークショップ開催の依頼も後を絶たない。高度な技術を積み重ね、コツコツと。お客様のお声に耳を傾け、セミオーダーからオーダーメイド、修理といった地域密着の対応を大切に。新しいレザーワークの潮流を生む、注目の実力派工房である。

店舗情報