戦後まもない混沌とした時代に、故永田基男氏が開店した板前割烹。約80年、目まぐるしく時代が変化し続ける中、本当に美味しいものを、奇を衒わずさり気なく、客の心に寄り添う料理をひたすら提供し続けてきた。
変わらないこだわりは「本物の美味しさ」への追及。瀬戸内産の白身魚やハモ、京都産の野菜など、食材選びには特に力を入れ、ブランドに必要以上にこだわらず、より上質で安全なものを目利きで選んでいる。そして、新しい風も取り入れながら、素材の味を最上の美味しさへと仕上げていく。現在三代目、永田恭規氏が祖父、父の想いを受け継いでいる。
料理は、すべて先付からデザートまでのコース仕立てで、定期的にメニューを変えるのではなく、予約の際に選んでいただくコース(予算)に応じて、お客様一人ひとりの献立を組み立てる、おまかせ料理。季節の椀ものや魚介類と果物の先付、生湯葉など、旬のみずみずしい味覚を堪能できる。心躍らせながら一品一品を待つ時間も味わいのひとつだ。
そんな同店の極上の料理をより美しく美味しく感じて頂けるようにこだわっているのが、上質な「器」だ。「京焼き」や「古伊万里」、「北大路魯山人」「尾形乾山」などの器を揃え、料理に合わせて使用することで、日本料理の奥深さを演出している。
また、同店は、八坂神社にほど近く、にぎやかな四条通りから、京都独特の小路(こおじ)の中にあり、格子戸を開けるとそこには、樹齢500年のヒノキのカウンターが目の前に広がる。木のぬくもりを感じさせる店内は、心を解きほぐしてくれる。カウンター席では、板前割烹ならではの醍醐味として料理人の技を目の前で愉しめる。個室は、掘りごたつ式でくつろぎながらゆったりと過ごせる。
訪れたその時が、記念日の食事会であっても仕事でも、また、旅行中の食事であっても、格別な時が紡ぐひと時として、思い出に残るに違いない。
