昭和８年創業の老舗庖丁専門店〈佑成（すけなり）〉。先代が東京・上野に店を構え、その後戦災で富山に疎開したのを機に、３代にわたりその卓越した技術が富山市の工場で継承されている。
店名の「佑成」という字には、熱い思いが宿る。「にんべんに右」と書く「佑」は、料理をする「人」にとってなくてはならない、「右」腕としての道具という意味が。そして、そのような存在に「成」りたいという願いが、熟練の職人達によって手掛けられる１丁１丁に込められている。
同店で扱うのは、本職用の料理庖丁。最高品質と称される炭素鋼を用いた「本焼」の製造技術をもとに、特殊合金や最新の粉末鋼などを用い、時代に合った製品づくりを行っている。秀逸な切れ味、耐腐食性、耐摩耗性など、こだわりぬいた鋼材を用いることであらゆる特性を持つ品が揃い、幅広いニーズに寄り添ってくれるのが同店の庖丁の大きな魅力。伝統的製法の良い点を活かしつつ、新素材を用いた革新的な庖丁を生み出している。
特に注目を集めるのが「スーパーゴールドⅡ」を使用した品々。業務用和庖丁で「スーパーゴールドⅡ」を用いるものは希少であり、日本中の料理人がその品を求めて同店に集う。特徴は、なんといっても桁外れの切れ味。極限まで追求されたそれは、料理人の腕に寄り添い、どんな食材も思うままの姿に仕上げてくれる。永切れし、錆びにくいうえ、研ぎやすい点も多くの料理人に愛される理由だ。
アフターフォローでもまた、お客様の大切な「相棒」を見事に蘇らせてくれる。切れ味の復活や錆び落とし、刃こぼれや欠けの修理、使い込みにより変形した庖丁を本来の形へ修復する形成、柄部の交換など、あらゆるフォローを経験豊富な職人らが担う。
料理人にとって、庖丁は魂そのもの。「料理する全ての方に頼りにされる存在でありたい」という三代目の想いがつまった同店で、ぜひ運命の１丁に出会っていただきたい。
