青華こばやし

美味しいものは限られている、という考えから、一年を通して食材は6種類に絞り、調理法を変えて供される。たとえば焼き魚を例に取ると、真魚鰹、甘鯛、桜鱒、太刀魚、鰻、鰆という具合。見目も美しく、その季節ならではの味わいで、旬の食材の持つ美味しさを愉しませてくれる
静謐なカウンターで器を愉しみ日本料理の神髄を味わうひと時
屋号の“青華”は、北大路魯山人に作陶の手ほどきをした九谷焼の名窯・須田菁華窯から。〈青華こばやし〉に席をとる愉しみの一つは、店主・小林雄二氏所蔵の器である。
そこには、「本物は必ず残る」という信念がある。「一番おいしい調理法、一番よい盛り付けや組み合わせなど、料理と器が相乗効果で美をなして完成できる点に、日本料理の髄があると信じております」。これは同店のウェブサイトの店主の言葉から。合理性だけで考えればこれほどまでの器は必要ないかもしれない。が、そこには美学は生まれない。修業時代の18歳の頃より将来を見据え、器を収集してきた志が貫かれている点が素晴らしい。
また、氏の料理は調理法に徹底的にこだわり、単純明快さが貫かれている。どの料理も調味料はほとんど使わず、丁寧に取った出汁と素材の旨味があれば、あとは塩で整えることで最高の味が引き出せるというのもまた、氏ならではの腕前であり美学である。
店は曙橋と四谷3丁目のほぼ中間。粋な大人好みの荒木町の一角に白の清しい暖簾が揺れる。白木のカウンターを挟んで板場に立つのは、店主のみ。完璧におもてなしをしたいとの想いから一日限定3組としている。
お通し、前菜という形にこだわらず、美味しいものをお出しするのが同店のスタイルだ。さらに、料理は一品一品手渡しで。器の形や手触り、重さ、料理の香りを料理人からお客様へ心を込める。料理を邪魔せず飲み続けられる心地良い酒が揃っているので、味わいのある酒器を愛でながら至福の一献もぜひに。
昼のお席、夜のお席、いずれも完全予約制。お子様もお連れいただける個室の用意もあるので、特別な日の集いにもどうぞご利用いただきたい。


店内は一枚板のカウンターに網代天井といったさりげなく凝った造りとなっていて、大切な方をお連れするにも最適な空間が用意されている。カウンター席

個室は掘りごたつ式なので、脚への負担なくゆっくりとお寛ぎいただける

写真は店主・小林雄二氏。調理師学校在学中から器の収集を始める。都内料理店を経て日本料理の名店「吉兆」へ。銀座の割烹でカウンターでの経験を積み、2009年に六本木にて「青花こばやし」を開業。2016年に新宿へと移転

店名の由来にもなっている須田菁華窯や川瀬竹春等、希少な作家物の器が積極的に使用される


店舗情報
青華こばやし
住所 | 東京都新宿区荒木町10-17-101 |
電話番号 | 03-6380-0978 ※完全予約制 |
営業時間 | 12:00~21:00(L.O.) |
平均予算 | 30,000円 |
定休日 | 不定休 |
ホームページ | https://www.seika-kobayashi.com |